それはXデーの前日の出来事・・・認知症母習い事引退事件簿

エンターテイナー夢子伝説

過去の話です。

認知症のみで要介護1が認定され、週1でデイサービスの利用を始めた夢子ばあちゃん。

ようやく長年習っていた弦楽器の会を引退することを決意したばあちゃんは、先生やメンバーたちに渡すお菓子も準備し、お別れのご挨拶をする日が明日となりました。

84歳ながらスマホのLINEが使えるばあちゃん。

仲良しのTさんに明日辞める挨拶に行くということをメッセージしたそう。

するとTさんから

スマホ

「それは残念。今年の年末の発表会に一緒に出られると思っていたのに」

的な返事が。

 

これに気をよくした夢子ばあちゃん。

自分が認知症で要介護1が出たことなどは内緒にして、娘たちが勝手に心配して辞めさせられられるのだと言い始めます。

そして何回かTさんとメッセージのやり取りをした後、私のところに

「やっぱり辞めないで年末の発表会まで頑張る」

とLINEしてきました!

自分から辞めるって言いだしたのに!!!

先生にだってこの前辞めるって手紙を出してたよね!


Tさんが「残念。一緒に発表会出たかった」って言ってくれるのは、どう考えても社交辞令!

「そうだね~。夢子ちゃん最近ボケてきてるものね」

なんて思っていても言うわけない。

誰だって悪者にはなりたくないのよ。

娘の私たちだって、悪者にはなりたくないからばあちゃん本人が「辞める」って言うまで辛抱強く待ったのよ。

これは流石に阻止しなければ!

 

去年の発表会だって、あんなにあからさまに認知症の症状出ちゃってて(まだギリギリ要介護認定前だったけど)ご迷惑かけてたのに。

認知症シニアの習い事 最後の発表会
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私は急いでばあちゃんのいる実家に向かいました。

実家への坂

もう、ばあちゃんの気持ちをおもんばかって当たり障りのないことは言っていられない。

真実を言ってでも分かってもらわなければ。

「ばあちゃん、もう辞めないとダメだよ。Tさんが言ってくれてるのは社交辞令だよ。この前の発表会だってみなさんにご迷惑かけてたでしょ?みんなでお揃いのコサージュつける予定だったのに忘れちゃってたし、演奏するときの場所も間違えちゃって手を引かれて連れていかれてたじゃん。それに認知症の診断を受けて要介護1が出てデイサービスに通っているのに、それを内緒にして参加し続ける訳にはいかないよ。それだったら私はもう車で送迎はできないよ。それにもう、先生にだって辞めるって伝えたんでしょ?明日挨拶に行くって言ってあるんでしょ?今更気が変わりましたなんてダメだよ」

ばあちゃんは納得できないという顔をして

「大丈夫だよ。頭はしっかりしてるよ。認知症ったってそんなに大したことないよ」

「大したことあるよ。お医者さまだって本当は薬を飲んでリハビリもしてくださいって言ったじゃん。それを拒否したのはばあちゃんでしょ!ちゃんとお医者さまだって認知症だって言ったよ。要介護認定だって出たでしょ!」

「・・・認知症じゃないよ・・・」

「認知症だよ。私もあこちゃんも言わないでいたけど、ずっと同じ話を何回もしてるし、生協さんだってちゃんと注文できなくなって辞めたんでしょ」

「・・・同じ話ばっかりしてるのは・・・経験が少ないから・・・どうしても同じ話になっちゃうだけだよ・・・」

どうしても認知症だと認めたくないばあちゃん。

まあね、同じ話ばかり何回もしても、失敗をたくさんしてしまっても、私もあこちゃんもそのことを本人には言わずに初めてみたいな感じで聞いてあげちゃってたし、「それ前にも言ったでしょ!何回言ったら分かるの?」的なことも言ったことなかったし、失敗しても責めたりしてこなかった。

優しさのつもりだったけど、それが逆にばあちゃん本人に認知症の自覚をさせない要因になっていたのかも。

でも、家族ならいいけど、他人に認知症を内緒にして迷惑はかけられない。

「とにかく明日は辞めるって言いに行くよ。辞めないって言うならもう私はもう車で送迎はしないからね」

キツイこと言いたくない。

言いたくないけど、ここは曲げられない。

それでもばあちゃんに「あなたは認知症だ」とはっきり言ってしまったことに罪悪感を感じながら、ばあちゃんの顔を直視できないまま私は実家を出て、自分のマンションへと続く坂道を大股で下りていきました。
すると・・・

「親不孝介護」

 

つづきます

ゴルゴダの丘駆け上がり事件 認知症母の負けず嫌い
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